親ができる小さな種まき。旅育で育む、子どもの生きる力。

旅育

1.小さな背中に、大きな世界を。──フィリピンへの旅立ち
小さな背中に、大きなリュックを背負って。
パスポートを握りしめた子どもと一緒に、私たちは空港へ向かいました。
行き先は、フィリピン。
子どもにとって初めての、海外旅行。

「ちゃんと飛行機に乗れるかな」「現地で困らないかな」
そんな小さな不安もありましたが、
それ以上に、
「この旅が、きっとこの子の世界を広げてくれる」
そんな確信が、私の背中を押していました。

けれど、振り返ってみれば──
この一歩は、突然始まったわけではありません。
子どもがまだ小さかった頃から、
私は「旅するように体験する」ことを大切にしてきました。

近くの科学館、畑の収穫体験、地域のお祭り…。
一つひとつの小さな冒険が、今日へとつながっているのです。

2.小さな冒険の積み重ねが、子どもを育てる
私にとって「旅育」とは、
遠くに行くことや、豪華な旅行をすることだけを指しているわけではありません。

子どもがまだ幼かったころから、
身近な場所での小さな冒険を大切にしてきました。

たとえば、
近所の科学館で、宇宙のふしぎを学んだ日。
畑の収穫体験で、泥だらけになりながらサツマイモを掘り出した日。
ショッピングモールのイベントで、初めて自分で作品を作った日。
地域のお祭りで、見知らぬ人たちと笑い合った日。

そうした一つひとつの体験が、
子どもの心に「やってみたい」「できた!」という小さな自信を育てていきました。

そして、
「できた!」が積み重なると、
自然と「次はこれをやってみたい」という主体性が育ちます。

私は、そんな子どもの成長を、そっと後押しすることを心がけてきました。

ただ「楽しかったね」で終わるのではなく、
「あのとき、どんな気持ちだった?」「何が一番ワクワクした?」と、
体験を一緒にふり返り、言葉にすることも大切にしてきました。

そうやって、
子ども自身の「感じる力」「考える力」「世界を広げる力」が、
少しずつ育っていったのです。

3.フィリピンでの挑戦。買い物交渉とキャニオリングの冒険
そんな日々の積み重ねがあったからこそ、
子どもが小学校高学年になった今、
「初めての海外旅行」にチャレンジする勇気を持つことができたのだと思います。

行き先に選んだのは、フィリピン。
セブ島をぐるりと一周し、ボホール島へ──。

現地では、あえてツアーを事前に予約せず
自分たちの足で情報を集め、現地で直接申し込むスタイルに挑戦しました。

慣れない英語に戸惑いながらも、
「ぼられないか」「お釣りは合っているか」をしっかり確認しながら、
現地の人との買い物のやり取りにも、自分から挑戦していく
姿がありました。

川では、初めてのキャニオリングにも挑戦。
大人ばかり、しかも英語しか通じない参加者たちの中で、
必死にガイドの指示を聞き取りながら、激流を乗り越え、滝を飛び込み、
一歩一歩、自分の力で進んでいきました。

終わった後の表情は、
水しぶき以上にキラキラと自信にあふれていました。

それは、ただの観光ではなく、
「新しい世界に一歩踏み出す」という、
子ども自身の大きな冒険だったのだと思います。

旅の終わりには、
「英語、もっと話せるようになりたい」
「世界をもっと見てみたい」
そんな言葉が、子どもの口から自然とこぼれました。

──たった数日の旅だったけれど、
そこで得たものは、
これからの人生に続く、大きな扉だったのだと感じています。

4.旅育とは?体験を通して育まれる生きる力
旅育とは、
子どもに新しい景色を見せること、
知らなかった世界に触れさせること──
でも、それは遠くへ出かけることだけを意味するわけではありません。

科学館のワークショップ、
地域のお祭り、
農園での収穫体験、
近所で見つけた小さな冒険──。

「初めての体験」こそが、子どもの世界をぐんと広げる旅になるのだと、私は思っています。

旅を通して、
子ども自身が「やってみよう」と一歩を踏み出し、
ときに戸惑いながらも、自分の力で乗り越えていく中で、
「自信」や「柔軟な思考」、「世界への好奇心」が育まれていく。

それは、
目に見える成果や数字では測れない、
生きる力そのものです。

そして、その旅のはじまりには、
いつも「親」の存在があります。

私は、
親の役割は、情報を集め、体験の種をまき、
子どもに新しい世界への扉を開いてあげること
だと思っています。

「こんな場所があるよ」
「こんな体験もできるよ」
そんなふうに、小さなきっかけを手渡していく。

どの扉を開くか、どこへ進むかは、
子ども自身が選んでいく。

旅育とは、
子どもと一緒に、
無数の小さな冒険を重ねていくプロセスそのもの。

そして、
その一歩一歩が、
子どもたちの未来を、もっと自由に、もっと豊かにしていくのだと思います。

5.親ができる小さな種まき。これから伝えていきたいこと
これからこのブログでは、
私たち親子が積み重ねてきた「旅育」の記録を、少しずつ綴っていきたいと思っています。

幼児期の近場での小さな冒険から、
小学生になって広がった世界。
そして、初めての海外旅行で見えた新しい景色まで──。

それぞれの年齢にあわせた体験や、
旅を通して育まれた「非認知能力」のエピソードを、リアルにお届けしていきます。

また、特別な遠出でなくても、
日常の中に「旅育」はたくさんあることも、伝えていきたい。

親は、体験の種をまく人。
子どもたちは、その種の中から、自分の興味を選び、育てていきます。

小さな「やってみたい」を応援すること。
たくさんの世界を見せてあげること。
でも、選ぶのは子ども自身だということ。

そんな温かいまなざしで、
子どもたちと一緒に、世界を広げていけたら──。

このブログが、
あなたとお子さんの「旅育」のヒントになったり、
誰かの背中をそっと押す存在になれたら、うれしいです。

これから、どうぞよろしくお願いします。

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